コラム : 花粉症の治療~初期療法をご存知ですか?

アレルギー疾患、花粉症、かゆみ

花粉症(アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎)に対する初期療法をご存知ですか?花粉の飛散開始日の2週間くらい前からくすりを飲み始めることによって症状が出てくるのが抑えられたり、症状が軽くてすむというのが初期療法です。この療法は、以前は季節前治療と呼ばれていました。通常、初期療法にはのみ薬と点眼薬(ともに第2世代抗ヒスタミン薬)が用いられます。

この初期療法の機序を理解するには、飛散開始日の定義を知っておくことが重要です。飛散開始日の定義は 一測定点で、1月以降にスライドグラスの1平方センチメートル内にスギ花粉が1個以上捕集される日が、原則として2日以上続いた最初の日とされています。すなわち、飛散開始日以前にも花粉は飛んでいる可能性があるというわけです。開始日前の花粉が鼻粘膜を少しずつ刺激し鼻粘膜の過敏性が亢進していくといわれています。初期療法には、この鼻粘膜過敏性亢進を抑制するはたらきがあるのです。毎年花粉症に悩まされている方には、この初期治療を是非おすすめします。

さて、花粉症の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、です。このうちのどれが強いかによって治療が変わってくることをご存知でしょうか?鼻の症状については、2005年版の鼻アレルギー診療ガイドラインに詳しく示されています。くしゃみや鼻水(鼻漏)が主症状の場合と鼻づまり(鼻閉)が主症状の場合で治療の第一選択薬が変わってくるのです。例えば中等症の場合、前者では、第2世代抗ヒスタミン薬、後者では抗ロイコトリエン薬が第一選択薬となります。

花粉症でもアトピー性皮膚炎同様、ステロイド治療をどう行うかが治療のポイントとなります。すなわちステロイド全身投与(内服や注射)とステロイド局所投与(点鼻、点眼、吸入、外用)では、副作用の重さが全く異なってきます。アレルギー性鼻炎の治療を例にとって比較してみます。

【ステロイドの内服・注射による副作用】
高血圧、高脂血症、胃潰瘍、骨粗鬆症、満月様顔貌(ムーンフェイス)、野牛肩、易感染性による肺炎、食欲亢進、糖尿病、白内障、緑内障、骨頭無菌性壊死(大腿骨・上腕骨骨折)、精神障害(うつ)

【ステロイドの点鼻による副作用】
鼻の刺激感、乾燥感、鼻血(※)

どちらの副作用が重いかは一目瞭然でしょう。現在の鼻噴霧用ステロイド薬はその有用性が証明されており鼻アレルギー診療ガイドラインにおいても軽症から最重症まで広い適応が認められています。しかしながら、内服薬や注射を好む日本人の国民性からか、患者さんの方からステロイド全身投与を希望される場合が多いためか、ステロイドの内服・注射がまだ広く行われているようです。ステロイドの点鼻療法はおすすめできる治療法です。しかし、ステロイドの内服療法(のみぐすり)は最後の手段と考えるべきでしょう。

※鼻中隔の方向に噴霧を続けると、その部位の粘膜が弱り鼻血がでやすくなります。正しい方法で噴霧しましょう。

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