コラム : 亜鉛と皮膚

皮膚科疾患

金属元素である亜鉛が体に不可欠な栄養素であることを御存知ですか? 亜鉛は体内で作り出すことができないため経口で摂取しなければならない必須のミネラルです。

亜鉛は細胞新生のために必要であり、子供の成長を促し、成人してからも新陳代謝を活発にする働きがあります。亜鉛が不足すると体のあらゆる部分で老化が進行するといわれています。最近では性機能の活性化と深く関連していることや脳の機能(特に記憶力)を活発にしたり味覚を正常に保つ働きが注目されていますが、実は、生体内の亜鉛の20%が皮膚に存在していることがわかっています。すなわち、亜鉛は皮膚病と密接な関係があります。亜鉛不足は肌の老化に直結します。すなわち、皮膚の潤いが乏しく小ジワが目立つようになり、シミも増えてきます。

単なる皮膚の老化進行だけではありません。腸性肢端皮膚炎という病気があります。これは手足の指先や眼のまわり口のまわりなどにタダレやカサブタができる病気で亜鉛欠乏が原因であることがわかっており、先天性のものと後天性のものがあります。先天性腸性肢端皮膚炎はまれな病気ですが早急な亜鉛補充療法を必要とします。後天性腸性肢端皮膚炎は、長期にわたる肝臓疾患、アルコール過量摂取による栄養不良状態などが原因となります。

他にも褥瘡、下腿潰瘍、脱毛症、アトピー性皮膚炎など、いろいろな皮膚疾患で亜鉛欠乏が悪化の一因になっている場合があります。

さて、亜鉛はレバーなどの肉類やうなぎ、牡蠣、ホタテなどの魚介類、各種豆類などに多く含まれているのですが、現代の日常食では一日の亜鉛必要量を満たすギリギリのラインであり、現代人は常に慢性的亜鉛欠乏にさらされているとも言われています。さらには飲んでいる薬の影響で亜鉛の吸収が妨げられたり、肝障害や消耗性疾患(糖尿病や膠原病など)があると亜鉛欠乏をきたす率が高まりますが、実は特に病気もなく薬も飲んでいない人でも亜鉛欠乏をきたしている場合があることがわかってきました。この気になる“現代人における亜鉛欠乏の原因と解決法”を次回のコラムでとりあげてみたいと思います。

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