コラム : ホントは怖い水虫の話

皮膚科疾患 かゆみ うつる病気

我が国の10人に1人が水虫だといわれています。この比率は中高年になるとさらに上昇し4人に1人、65歳以上の高齢者では2人に1人が水虫に罹患しているのです。水虫の患者さんは年々増え続けていると推定されており、「死ぬわけではないから放っておこう」「病院で足を見せるのが恥ずかしいから」と治療を行わない人を含めると水虫人口は想像を絶する総数になっていると考えられます。「水虫=国民病」と言っても過言ではないでしょう。

水虫には、足の水虫(足白癬)、爪の水虫(爪白癬)、手の水虫(手白癬)がありますが、すべて白癬菌というカビの一種によっておこる病気です。インキンタムシ(股部白癬)、タムシ(体部白癬)、シラクモ(頭部白癬)も、すべてこの白癬菌が原因でおこるのです。

「死ぬわけではないから放っておこう」と考えておられる方に是非知って頂きたいのは、靴を脱いで生活している日本の家屋の中で、治療を受けておられない水虫の患者さんは常に白癬菌をばらまき、家族にうつしてしまう危険性を生じさせているという事実です。

また、足のゆびの間の水虫によってできた小さな傷から、黄色ブドウ球菌のような細菌が侵入し、蜂窩織炎(蜂巣炎)をおこし、運悪く糖尿病のような足の血流が悪くなる基礎疾患を合併していたがために、足の切断以外に治療の選択肢がないほど重症化してしまうケースがあります。基幹病院で皮膚科勤務医をやっていれば毎年遭遇するパターンであり、水虫治療における患者さんを啓蒙する活動がいかに大切であるかを痛感しておりました。

水虫の中でも治りにくいのが「爪白癬」ですが、他の医療機関で顕微鏡を用いた真菌検査なしで爪白癬と診断され長期にわたって抗真菌剤を内服しているが不変であるといって受診される患者さんもいらっしゃいます。真菌検査の結果は陰性で、爪の乾癬や扁平苔癬であるケースもしばしば経験します。たかが水虫とあなどることなく、信頼できる皮膚科専門医を受診することをおすすめします。

ところで、この「水虫」、カビが原因なのになぜ「みずむし」なのでしょう?これは江戸時代に水仕事(田んぼでの作業)をする人に多く発生することから、水の中の虫が寄生すると考えられつけられた名称のようです。

最後に水虫予防・治療の5つのポイントを列記します。

  1. 毎日、石鹸を使ってよく洗い、患部を清潔に保ちましょう
  2. 蒸れにくく、爪に負担をかけない靴を履きましょう
  3. 外用剤は患部の周囲も含めて薄く広く塗りましょう
  4. 症状がなくなっても、薬は短くとも半年~一年は塗り続けましょう
  5. 家族に同症状の方がいれば、一緒に治療を受けましょう

関連コラム: フットケアの重要性~糖尿病患者のみなさんへ~