コラム : 脂漏性皮膚炎

皮膚科疾患

フケが異常に増えてきたり、いつも顔が赤いと言われたりしたことはありませんか?フケや頭のかゆみ、顔の赤みで皮膚科を受診し「脂漏性皮膚炎」(または脂漏性湿疹)と診断を受けても馴染みのない病名のために今一つピンとこない方が多いのではないでしょうか?今回は脂漏性皮膚炎のお話です。

脂漏性皮膚炎は脂漏部位の皮膚に炎症がおこる病気です。まず脂漏部位を説明します。脂漏部位(皮脂腺の発達した部位)は、頭部と顔面に主に存在しますが、胸部や上背部、腋窩(わきの下)、陰部(股部)にもあります。特に顔の場合、頭髪の生え際、眉間を含む額と鼻のラインを結んだいわゆるTゾーン、鼻唇溝(鼻の脇から口角部に連なる溝)など特徴的な場所に鱗屑(うすいかさぶたのようなもの)を伴った紅斑が見られるため診断につながります。異常に多くのフケを伴う疾患には、脂漏性皮膚炎のほかにも尋常性乾癬、頭部白癬などがありますので、皮膚科専門医の正確な診断を受けることが重要です。

脂漏性皮膚炎の原因は体質的に皮脂が多い人において、遊離脂肪酸が増加することによる皮膚への刺激といわれています。頭皮ケア(シャンプー)を行わず放置していると遊離脂肪酸が増えますし、皮膚常在真菌(マラセチア)が皮脂を分解し遊離脂肪酸を産生するともいわれています。

脂漏性皮膚炎は人口の3~5%を占めるといわれており、皮膚科日常診療においてよく見られる疾患です。生後1~2か月で出現する乳児型と、皮脂の分泌が亢進する思春期以降に出現する成人型に分けられますが、乳児型が生後5~6か月で自然に治癒してしまうのに比べ、成人型は慢性の経過をとり再発を繰り返すためなかなかやっかいな病気です。現在、中年の方の10人から20人に1人が「脂漏性皮膚炎」を発症しているといわれています。しかし、治らない病気とあきらめないでください。下記の日常生活での注意点に気をつけ、皮膚科専門医の適切な治療を受ければ気にならないくらいの良い状態でコントロールできる疾患なのです。

まず日常生活での注意点ですが、脂っこい食事に偏ることなく野菜や果物も十分に摂ってバランスのよい食生活を心がけましょう。ストレスや過労も増悪因子であり、規則正しい生活、十分な睡眠をとることが重要です。毎日のシャンプーも欠かせません。

治療は最初はステロイドを外用して炎症を沈静化させます。頭部のかさぶたが多い場合には毎日洗髪前にオリーブ油をなじませて少しずつ取っていきます。抗真菌薬含有のシャンプーも有効です。症状が落ち着いてきたら外用薬を抗真菌剤であるケトコナゾールに替えてコントロールしていきます。内服ではビタミンB2、B6がよく用いられます。慢性疾患ですので専門医の治療を継続して受けることが大切です。

他の医療機関で「治らない病気だから」と説明を受け、単にステロイドの外用薬を出されるだけで他に説明もなく、頭部にびっしりかさぶたを付けたままで当院に来られる患者さんも結構おられます。当院ではオリーブ油の具体的な使い方、抗真菌薬含有のシャンプーの紹介などきめ細かい治療を行っております。