ホームコラム : 掌蹠膿疱症、乾癬、白斑/エキシマライト療法(ターゲット型光線療法)

皮膚科疾患 かゆみ

jpg 2750 byte 光線療法がなぜある種の皮膚の病気に効くことがあるのでしょうか?その機序は、大きく分けると2つあり、1つは制御型Tリンパ球の誘導による免疫抑制であり、もう1つは病気の原因となる細胞にアポトーシス(apoptosis) を起こさせるためといわれています。アポトーシスとは、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞死のことです。

我が国でも従来より難治性の掌蹠膿疱症や乾癬、白斑に対して光線療法が行われてきましたが、いわゆる日焼けの副作用の懸念から、すべての患者さんに広く行われる治療法ではありませんでした。近年になって、治療に効果のある波長を選択的に照射できる機器の開発が行われ、311nm付近の波長を照射できるナローバンドUVBが良好な治療効果をあげるようになっています。さらに数年の経過で、より一層効果が高いといわれている308nmの波長を照射できるエキシマライトが開発され、複数の大学病院で採用され、その優れた治療効果が報告されるようになってきました。
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2012年1月、梅田皮膚科では、「セラビームUV308」によりエキシマライト療法を開始しました。この「セラビームUV308」は紫外線皮膚治療器としては世界で初めて、エキシマフィルターを搭載し、健康な皮膚へのリスクを低減し患部に対し効果的かつ安全に照射治療を行えるエキシマライトといわれています。上の図で示したようにリスクになりやすい有害な短波長成分をエキシマフィルターでカットしているところが大きな特徴です。本機種は日本で開発されたエキシマライトであり、黄色人種の皮膚への照射に合うように、過剰な紅斑や色素沈着を起こしにくいようにエキシマフィルターが搭載されたという経緯があります。

梅田皮膚科ではビオチン療法とエキシマライト療法という2本柱により掌蹠膿疱症に対する最良の治療を患者さんに提供できるよう努めております。

参考:掌蹠膿疱症/ビオチン療法

注1:エキシマライト療法の適応疾患には、掌蹠膿疱症のほか、乾癬、白斑などがあります。光線過敏症の既往、過去の光線療法歴、併用療法の種類、皮疹の状態、部位や範囲を、問診や診察で把握した結果、当院がエキシマライト療法が適切でないと判断した患者さんについては、患者さんが希望された場合でも、エキシマライト治療をお断りする場合があります。他院の光線療法機種や治療法が適切と判断した場合は他院を御紹介させて頂く場合もあります。

注2:エキシマライト療法は皮膚に対する治療法であり、掌蹠膿疱症性骨関節炎に対する効果は期待できません。現在皮膚に症状がなく、骨や関節の痛みだけの症状の方にはエキシマライト療法を受けていただくことはできません。