コラム : 「アトピー診療と私」~その2~

アレルギー疾患 皮膚科疾患 アトピー かゆみ

2000年代に入ると、アトピー性皮膚炎の治療において日本皮膚科学会が強いリーダーシップを発揮するようになってきました。治療ガイドラインの作成、アトピービジネス駆逐のための日本皮膚科学会内での被害相談FAX設置(※現在は終了)、などです。皮膚科医が自信を持ってアトピー診療を行うべきであるということを日本皮膚科学会が提唱しはじめたのです。

2004年から私は大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター皮膚科(旧称:大阪府立羽曳野病院.以下“羽曳野”と略します.)に勤務することになりました。“羽曳野”はアトピー性皮膚炎を中心とした皮膚アレルギー疾患の診療で有名であり、日本全国から患者さんが多数集まる「アトピー診療のメッカ」といえる病院です。食物アレルギーを合併し離乳食指導が必要な乳幼児から、長期にわたり難治性の成人型アトピー性皮膚炎の方まで、患者さん一人一人の年齢、生活環境、皮膚の症状、検査値に合わせたオーダーメイドのアトピー治療が経過を追って長期継続的に行われています。

羽曳野で得た経験はアトピー診療に携わる私の血となり肉となりました。そこで私はアトピーとステロイドについてある結論に至りました。それは、ステロイドを悪化時には十分外用し改善時にはゆっくり減らしてコントロールしていく、いわゆるスタンダードなステロイド外用療法で、大多数のアトピー患者さんは支障のない日常生活が送れるということです。その一方で、ステロイド外用に対して反応がよくない、いわゆるステロイド抵抗性のアトピー性皮膚炎が少数ながら確かに存在し、そういう患者さんにはステロイド以外の外用・内服薬を用いて治療を行っていくべきであるということがあります。

ステロイドでコントロールできるアトピーでありながら、ステロイドを忌避するあまり症状を悪化させ日常生活に支障が出ている例を数多くみてきました。一方で、ステロイドの使い方が適切ではなかったために効果が表れずその副作用だけが出現している例もまた数多くみてきました。正しい診断見極めと十分な患者さんへの説明がいかに重要であるかということを痛感する毎日でした。アトピーは長期にわたって同じ医師が皮疹の変化を継続的に診ていくべき疾患であり、それは自信を持って診療を行えるアトピーの専門医でなければ成し得ないことであるという結論に至りました。

2006年夏、私は大阪労災病院勤務となり、着任するとすぐにアトピー外来を立ち上げました。長期の継続治療が必要なアトピー性皮膚炎の患者さん一人一人にオーダーメイドの診療を、この“堺”で続けていこうと強く心に決めたのです。

そして2007年夏、堺の中百舌鳥(なかもず)に梅田皮膚科を開院することができました。勤務医時代から継続して通って頂いている患者さんに「もう転勤はないですよ」と言えることが私の喜びでもあります。アトピー外来を同じ場所で長期にわたり続けていくということは、医師になってすぐの頃からの私の理想でした。じっくりと治療を続けていくうちに皮膚の状態が良くなって患者さんがアトピーのことを忘れている時間が増えていくようになることを目標として診療に取り組んでいる毎日です。