ホームコラム : ホントは怖いリンゴ病の話

皮膚科疾患 うつる病気

子どもの両ほほが赤くなる「リンゴ病」は御存知の方が多いでしょう。しかし「伝染性紅斑」という正式病名を聞いてもピンとこないのではないでしょうか?

伝染性紅斑は幼児~学童期に好発するウイルス性疾患でりんご病の俗称があります。最近ではほぼ5年の周期で流行がみられます。ヒトパルボウイルスB19(以下B19と略します)というウイルスに感染することによって起こる病気です。潜伏期間は2~3週といわれていますが、前駆症状として全身倦怠,鼻汁,咽頭痛,軽度の発熱など非特異的感冒様症状が見られることがあります。伝染性紅斑の皮疹出現時期にはウイルス血症は終息し感染力はないとされています。

顔面両頬部に辺縁が不整な紅斑がみられ,その外観から「蝶形」「平手打ち様」と形容されます。四肢には「レース状」あるいは「網目状」と表現される紅斑がみられます。皮疹は1~2週間の経過で消褪します。小児の場合では全身症状を伴わず特に治療を要しない軽症例が多いのですが、成人例では非定型的な皮疹が出現したり、関節炎などの全身症状を伴うことも多く注意が必要です。

妊娠女性や溶血性貧血の患者さんがB19に感染すると重篤な合併症が起こることがあり細心の注意が必要です。妊婦がB19に感染すると、流早産や胎児水腫を引き起こす可能性が高まると言われています。溶血性貧血の患者さんがB19に感染すると、重症の貧血発作をはじめとする種々の合併症を引き起こす確率が高くなります。対策としては、流行時期に感冒様症状の人に近づくことを避けるという以外にありません。

参考

梅田二郎、伝染性紅斑、幼小児によくみられる皮膚疾患(医薬ジャーナル社)p36-37,2006

[感染症発生動向調査週報、感染症の話、伝染性紅斑](http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_23/k04_23.html)