ホームコラム : 虫刺されに御用心

皮膚科疾患 かゆみ 痛み


虫刺されは市販のぬり薬で応急処置という方が多いと思います。しかし、特にお子さんの場合、虫刺され後をいつまでもかゆがり、もり上がりや赤みが長期間残ることがよくあります。これには若年者は虫刺されで遅発型アレルギーを起こしやすいという背景があります。虫に刺されてすぐに副腎皮質ステロイドを外用すると「虫刺され部位に長期間痒みが続く」という症状が起こりにくくなるということを御存知でしょうか?この治療は1、2回の外用で効果が得られるので副作用の心配をせずに済みます。また虫刺されの中にはこれから述べるような強い症状の出るものもあり注意が必要です。


皮膚科専門医が問診と診察だけでズバリ診断する皮膚病に毛虫皮膚炎があります。チャドクガは、茶、ツバキ、サザンカを食草とし、毒針毛に接触すると1~2日後かゆみを伴う丘疹が多発します。接触直後ならセロハンテープを用いた毒針毛除去が効果的です。接触したのを気づかないことも多いので、庭木の毛虫を見かけたという問診から診断に至る場合もあります。イラガは、毒棘に触れた瞬間に電撃的な激しい痛みがおこるという特徴があります。刺された部位の冷却が応急処置となります。毛虫皮膚炎の治療の第一選択はステロイド外用です。

ムカデ咬症はひどく腫れることで有名であり、ステロイド外用だけでは症状がおさまらず、短期間のステロイド内服を要することもしばしばあります。是非皮膚科を受診頂きたい疾患といえます。


蚊刺症は最もありふれた虫刺されですが、これもステロイド外用のよい適用となります。最近では冬でも活動している低温に強いチカイエカという種類の蚊が増えているそうです。特にお子さんの場合、刺されてすぐの塗布で刺された跡の残り方がかなり違ってきますので是非治療をおすすめします。


ハチ刺症では全身症状(蕁麻疹、喘息様症状、気分不良、血圧低下)を伴う場合もあり注意が必要です。最も重篤な場合、アナフィラキシーショックをきたして、刺されて30分~1時間で死に至ることさえあります。過去にハチに刺されて全身症状をきたした既往がある方は、再びハチに刺された場合は30分以内に救命救急処置が行える医療機関に搬送される必要がありますので、直ちに救急車を呼んで救急指定の医療機関に向かうようにしてください。